残業しないで帰りたい!
君に嫌われたくない。
好かれたい。
君を大事にしたい。
干渉したい。
君を守りたい、君のそばにいたい、俺のものにしたい。
もう頭の中はめちゃくちゃで、正常な判断なんかできなくて、今ここで挽回しないともう取り返しがつかないような気がして、必死になって食事に誘った。
真剣に、真っ直ぐに。
「青山さん。俺と一緒に、食事に行ってくれませんか?」
そんなどうしようもない俺に、彼女は戸惑いながらもついて来てくれた。
やっぱり君はお人好しだよ。
また君と一緒の時間を過ごせるなんて……。
嬉しくて、心が踊ってはしゃいだ。
でも同時に焦りも沸き上がってきた。だってこんなの、とんでもないチャンスだ。
泣かされたのに食事に来てくれるなんて、彼女は俺が思うほど悪い印象は持っていないのかもしれない。
少しは俺に気持ちが向いているのかも……。
今このチャンスを逃したら、こんな機会は二度と巡ってこないんじゃないだろうか。
今日、俺の印象を深く刻み込まなければ、若い彼女はもう俺のことなんて見向きもしないかもしれない。
そんな焦りと不安に追い立てられた。
そして「仲直りの握手をしよう」なんて言い訳をして、触れても平気か反応を確認しようとしている姑息な俺に、青山さんは全く気がつかなかった。
そういうところも純粋……。
だから心配なんだよ。
青山さんは差し出した俺の手を観察するようにじっと見つめ、ゆっくり手を近づけてきた。
スローモーションな仕草をドキドキしながら息を潜めて注視する。
そして、彼女の細い指先が手のひらに触れた瞬間、ビリッと電流が走って腕から胸の奥まで痺れたから、思わず顔をしかめた。