残業しないで帰りたい!
胸の疼きを抑えられない。
そんなに興味津々でじっくり観察するなんて、やっぱり君は男を知らない……?
そんなやましい俺の考えなど露知らず、純粋に俺の手を観察している彼女が可愛くて可愛くてたまらなくて、衝動を抑えきれずにガバッと手を握ってしまった。
握った手はあまりに柔らかくて、絶対に離したくないと思った。
でも握ってすぐに後悔した。
……またやってしまった。
いきなり手を握られたら怖いよね?
嫌われたくなくて、でも逃げられたくなくて、離れてしまわないようにますます強く握った。
でも、青山さんは怖がっているのでなく、ただ困っている様子。だから「あーくーしゅっ!」なんて言ってごまかしたけど。
本当はそのまま手を繋いで歩きたかった。
でもそんなこと、できるわけがない。
だから、仕方なくゆっくりとその手を離した。
柔らかく暖かい感触がスッとこぼれ落ちて、手のひらに冷たい空気が流れ込んだら、ゾッとするほど寂しさを感じた。
離さなければよかった……。
切ない気持ちをごまかすように、彼女に背を向けて少し前を歩いた。
彼女は俺の後ろについて来てくれている。
俺はまだ嫌われていない……。
それだけが心の支えになっていた。