残業しないで帰りたい!
ファミレスに入って席に着くと、彼女はそれほど緊張した様子はなく、落ち着いた表情をしていたから安心した。
だから少しずつ質問しながら話を聞いた。核心に触れることも少しずつ。
そうやって時間をかけてゆっくり話してもらおうと思っていた。
それなのに。
堪え性のない俺は、知りたい気持ちが膨らんで抑えらなくなってきた。ヤキモチにも似た不思議な感覚。
君にいったい何があったの?
男に何をされたの?
触られた?その唇を、その体を奪われた?
結局耐えきれずに、彼女になぜ男嫌いなのかをストレートに聞いてしまって、またすぐに後悔した。
そんなこと、話したくないに決まってる。
でも優しくて真面目な彼女は、無理をしてでも話してくれるだろう。
話したらきっと、思い出したくもない過去を思い出して、辛い思いをするに違いない。
気持ちを抑えられなかった自分の弱さを嘆いた。大切にしたいはずなのに、俺はむしろ彼女を傷つけている。そんな自分に腹が立った
だから急いで「無理に話さなくてもいいんだよ」と言ったら、青山さんは思いがけないことを言った。
「い、いえ。話したいんです」
その言葉にはかなり驚いた。そして密かに心に引っかかった。
話したい……?
俺に?
嫌いだったらそんなことは言わない。
もしかしたら……君は俺に心を開いてくれている?
わずかな期待に胸の高鳴りを覚えた。
話すと言いつつ、青山さんは胸に手を当て何度も深呼吸をしている。
……大丈夫?本当に無理しないで。
心配になって、やっぱり話さなくていいと思った時、彼女は胸の前で手を握りしめて一言一言を考えるように話し始めた。