残業しないで帰りたい!
「一緒に休みたいの?」
「いや、俺は休めない……」
だって管理職会があるんだもん。
……サボっちゃう?
いやいや、無理だな。俺が出してる議題があるし。
「えー?変なの!」
そうだよね、変だよね?
でも、明日はどうしても休んでほしいんだ!
「いいじゃん、休んじゃえば」
「なあに?翔太くん、なんか変だよ?」
「変じゃないよ」
「変だよう!」
「変じゃないって!ねえ、休んでよー」
ぎゅうぎゅうと抱き締めると、香奈ちゃんはじとっと疑いの視線を向けてきた。
「……」
「ん?なあに?」
「もしかして……、久保田係長が来るの?」
「来ないよっ!来ても別に何もないし」
そうきたか。香奈ちゃん、ヤキモチ妬いた?それはそれで嬉しいけど、違うんだなーこれが。
「じゃあ、なあに?」
「香奈ちゃんが会社休んで、俺んちで待っててくれたら嬉しいなあって思ったの」
「ええっ?なにそれ?」
「だからさ、明日ずっとうちにいて俺の帰りを待っててよ」
ああ、そのシチュエーションいいなあ。すごくいい!憧れる。
香奈ちゃんが家で俺の帰りを待っててくれるなら、残業の見回りなんか大塚にやらせて、俺、すぐにでも帰って来ちゃうよ?
「んー?それなら会社は休まないで、翔太くんより先に帰って待ってるよ?」
「いやいや、そうじゃなくってさ、ずっと家にいてほしいんだよ」
ずっと家にいるってのが重要なんだよね。
「やっぱり変……。翔太くん、何か隠してる」
「隠してないよ」
「ううん、絶対に隠してるよ。なあに?」
困ったね、女の勘が発動した?
それ以前に、俺の発言が不自然極まりないからか?