残業しないで帰りたい!

ピピッ、ピピッ、ピピッ、ピピッ。

……んー?……うるさいなあ。

もう、朝……?
俺、目覚ましなんて、かけたっけ?

手だけを伸ばして目覚まし時計のボタンに指をかける。

……。

……あれ?
なんだっけ?

何か忘れてるような……。

「あっ!」

勢いよく起き上がる。

いないっ!

香奈ちゃんがいないっ!
抱き締めて眠ったはずなのに!

今何時!?
バッと時計を見ると6時30分。
香奈ちゃん、俺が起きられないの知ってるから目覚ましかけてくれたのね?

キョロキョロと見回しても、香奈ちゃんの気配はない。

台所?
でも音は聞こえないなあ。

ベッドから起き出してうろうろと見て回ったけど、人の気配はなかった。
そして、靴もない。

……しまった、やられた。
行ってしまった……。

ふと見ると、ダイニングテーブルにラップのかかった手作りサンドイッチが置いてあった。その横にはマグカップとコーンスープの袋が置いてある。
そして香奈ちゃんの手紙も。

『おはよう。コーンスープはお湯を沸かして自分で作ってね』

サンドイッチ、作ってくれたんだ……。
香奈ちゃんの手作りサンドイッチはすごく美味しいから、俺は大好きだけど。

香奈ちゃん……、いったい何時に起きたの?

……若いって恐ろしい。
あのくらいじゃ疲れないのか?

気を失うように眠ってしまったから、可哀想なことをしたって反省したのに……。

若い彼女を疲れさせて寝坊させようなんて、俺の認識が甘かった。

むしろ疲れたのは俺の方で、彼女が腕の中から抜け出したことにも全く気がつかなかった。

その上、まだ疲れが抜けない……。

まったく何やってんだか。
俺は本当にバカで間抜けだ。
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