残業しないで帰りたい!
でも。
もしかしたら、香奈ちゃんも不安になったのかな?
俺が本当のことをずっと黙っていたから。
隠していたつもりはなかった……のではなく、君に知られないよう俺は俺の過去を君に隠していたんだ。
香奈ちゃん、本当は俺の心が自分の所にないんじゃないかって、不安に思った?
そんなことは断じてない!
俺はいつも君のことばかり考えている。
君のことが好きで好きでたまらないんだ。
わかってほしい。俺には君だけなんだってこと。
だから、お願い。俺から離れて行かないで……。
不安で押し潰されそうな俺の腕の中で、香奈ちゃんは小さく息を吸った。
「私……翔太くんのこと、大好きだよ?どんな翔太くんも大好き……。だから、翔太くんが本当は他の女の人とも一緒にいたいなら……私……、構わな……」
香奈ちゃん?……好きって言ってくれるのは嬉しいけど、それはつまり俺が他の女といたいなら構わない、と?
ああもうっ!
なに言ってんの?
やめてよ!
「だからそんなことはしないってば!俺は香奈ちゃんだけなの!一筋なの!他の女なんて考えたくもない。本当なんだ!俺が他の女といても構わないなんて思わないで!」
「……うん……」
「本当に!」
「うん……」
「ホントにわかってる?」
「……うん、わかってる……よ?……その、何て言うのか……ホントはね、私、イヤなの。……翔太くんが他の女の人と一緒にいたら、私……きっとすごくイヤ」
香奈ちゃんは涙を溜めて、俺のワイシャツの袖をきゅっと握った。
ああ、ヤバいな、これ。
可愛すぎる。
香奈ちゃん、ヤキモチ妬いてるの?
思わず腕に力が入った。
「大丈夫。そんなこと、しない」
そう囁いて、そっと抱き寄せてから彼女のなめらかな髪を撫でた。