残業しないで帰りたい!

それでも香奈ちゃんは不安いっぱいの瞳で見上げて、一生懸命訴えてきた。

「でも……、イヤだなんて、ワガママじゃないのかな?本当に好きなら、どんな翔太くんでも全部受け入れるんじゃないのかな?」

「自分は我慢してでもってこと?」

「……うん」

君はすぐそうやって我慢して自分の気持ちを抑えようとする。

「それは違うでしょ?」

「ううん、違わない!大人なら我慢するんだよ。今まで翔太くんの周りにいた大人の女の人たちは……きっとそうしたと思う。でも私……そんなに大人には、なれない。翔太くんが他の女の人と会うなんてイヤ。他の女の人と会いたいと思うのもイヤ。そんなの私……、耐えられないの」

耐えられない、なんてたまらない台詞に胸を締め付けられるけど、君は大きな勘違いをしている。

「何度も言うけど、俺はそんなことしないし、我慢するのが大人だとは思わないよ」

「でもっ!こんなお子ちゃまで心が狭いなんて……翔太くん、私のこと嫌になっちゃうんじゃないのかな……?」

はあーっ。
香奈ちゃん、そんなこと心配してたの?

「なに言ってんの?香奈ちゃんのこと、嫌いになるわけがないじゃない!」

そんな不安げな瞳でヤキモチを妬いてくれるだけでたまらないのに。

むしろ、ガキで心が狭いのは俺の方だ。
俺は独占欲が強くてどうしようもないヤキモチ妬きのガキだ。

自分の過去は棚に上げて、君が他の男を知らないことに喜びを感じ、自分だけを知っていることに満足している。

まだ彼女が男を怖がるから、なんて言い訳で、単なる独占欲で彼女に他の男が触れるなんてまずもって絶対に許さないし、仕事以外で男と話すことも嫌だ。

新田と二人で話をしているのでさえ、たまらなく不快だった。

俺は君に狂ってるんだ。

君と恋人になって、君のそばにいられるっていうのに、それでもなお、俺は君に狂ってる。

君と離れたくない。
絶対に離したくない。
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