残業しないで帰りたい!

それでも俺は友達のフリをして彼女の合コンの話を素知らぬ顔で普通に聞く。そのくらいしか接点を持てない自分が不甲斐なくて、本当に嫌になる。

「週に何回行ってるんだよ?ホント、懲りないね」

「懲りないよー。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるのさ!」

数撃たなくても、俺にはとっくに当たってるんですけど。

でも君は俺のことなんか、眼中にないんだろ?

「どんな男ならいいんだよ」

「えー?どんなって言われても困るよー」

「なんか好みがあるから撃っても撃っても当たらないんだろ?」

「……別にっ!好みなんてないもん!じゃあねっ」

彼女は急に怒ったように口をへの字に結ぶと、走って行ってしまった……。なぜだ?なぜ怒った?

わからない。
女心って全然わからない。

なんとかもっと白石さんと話ができないかな。
こんな合コンの話とかじゃなくて。

……そうだ!

青山さんには悪いけど、少し遅めの時間にサンプルお願いしよう。

そうしたら、きっと白石さんは青山さんを手伝うだろう。俺もそこに一緒に入って作業をしたら、少しは自然に話ができるんじゃないか?

どうしようもなく幼稚な作戦だけど。
でも今はこんな作戦しか思い浮かばない。

それなのに。
元々幼稚な作戦だった上に、俺はミスを犯した。

本当なら午前中の内に依頼しておく内容。だけど少し遅れ気味で2時過ぎに青山さんにサンプルをお願いする計画だった。

それなのに午後イチの会議が長引いて、気が付いたら4時になってしまった。その上、急きょ得意先に行くことになって、一緒に作業をすることすらできなくなってしまった。

完全に俺の失態。つまらない作戦を考えて、結局青山さんだけを巻き添えにして迷惑をかけてしまうなんて。

青山さん、ごめん。
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