残業しないで帰りたい!

「じゃあ、10人?」

「えっ?」

はあ、まあ、それはそうだね。
香奈ちゃんは俺の様子をじっと見つめて、また口を開いた。

「……50人?」

え?……抱いただけなら、まあ、そのくらいはいただろうねえ。

……香奈ちゃん。
そんなこと聞いてどうするの?

「100人?」

「……」

んー……否定はできないなあ。ずいぶん長いことフラフラしてたから、そのくらいはいたのかもしれない。

困って何も答えずに見おろすと、香奈ちゃんの瞳は少し揺れて不安げに見えた。

「香奈ちゃん?」

「……どうしてかなあって思ったの」

「何が?」

憶えていないこと?
そうだよね?そんなの……軽薄だよね?

すると香奈ちゃんは今にも泣きそうな顔をした。

そんな顔しないで。
こんな男、嫌になった?

「翔太くんはすごくかっこよくて、すごくモテて、たくさんの女の人を知ってるのに、どうして私なんかと一緒にいてくれるのかなあって……わからなくて不安になる」

そんなこと……。

「好きだからに決まってるじゃない。香奈ちゃんのことが好きだからだよ。不安になんかならないで」

「でも、どうして私なんかが好きなのかなって。……私がのんびりしてるから?でも、私より可愛くてのんびりしてる人は世の中にいっぱいいるよ?」

「俺のこと信用できない?」

「そうじゃないよ!でも……」

「香奈ちゃんは誰よりも可愛いよ?断トツで一番!香奈ちゃんじゃないとダメなんだ」

「……」

微笑みかけて言ったけど、香奈ちゃんは不安な瞳のまま。
俺の言葉を信じていないね?

君のいけないところは自分に自信がないところだよ。

仕方ないな。
こうなったらもう一つ、俺の秘密を教えてあげよう。
< 202 / 259 >

この作品をシェア

pagetop