残業しないで帰りたい!
金曜日。
社長同席のもと、東京本部の営業課と合同で見本市を終えての報告会が行われていた。
あー、話が長い。
ちゃっちゃと説明してくれ。
俺は早く帰りたいのに!
時間だけが容赦なくどんどん過ぎていく。
今まで残業なんて当たり前だと思ってた。
でも今日は特別だ。
これほど残業が嫌だと思ったことはない。
早く終わってくれ!
美人な久保田係長もクールに上から目線で報告していた。
久保田係長の報告は要点がわかりやすくまとまっていて早く終わったから、偉そうなことを言わせてもらえれば、俺の中での評価点はかなりの高い。
あの人、高飛車だけど仕事はできるんだよな。
腕時計に視線を落とす。
もう時間は8時過ぎ。
社長のスケジュールに合わせたからって、こんな時間まで報告会とかおかしいだろ!
もっと昼の早い時間にやろうぜ。
焦る気持ちを抑えられず、ボールペンをクルクル回すけれど、そんなことをしても気持ちが落ち着くはずもなく。
俺、こんなことしてていいのか?
レストランの予約は7時だって白石さんは言っていた。
間に合うだろうか?
彼女の所にたどり着けるだろうか。
俺は決心していた。
相手がどんな男なのか知らないが、俺は彼女を奪いに行く。
彼女から拒否されたら、もう友達ではいられない。
でも、それでいいんだ。
他の男の話を君の口から聞くなんて、もうごめんなんだよ。耐えられない。
そんな話を聞くくらいなら、顔も見たくないくらい、思いっきり嫌われてしまいたい。
それに……。
俺は彼女が時間と場所を教えてくれたことに、賭けた。
君は、迎えに来てほしくてあんなことを言ったんじゃないの?
本当は、デートに行くこと自体を引き止めてほしかったのかもしれない。
可能性は、ゼロじゃないだろ?
だから、彼女を奪いに行く。
それなのに!
終わらない報告会にイライラする。