残業しないで帰りたい!
「ねえ、藤崎くん。同期の中で個人売り上げナンバーワンの藤崎くんと法人売り上げナンバーワンの私が付き合ったら面白いと思わない?付き合おうよ」
藤崎くんは当然困った顔をした。
「えっ?面白いかなあ……?面白いから付き合うの?久保田さん、俺のこと好きでもないのにそんな理由で付き合いたいの?」
「そっ、それは、……そうだけど」
「やめとこうよ、そんなの。俺も別に久保田さんのこと、そんな風に考えたことないしさ」
そのさり気ない台詞はグサッと胸に刺さった。
考えたことない?
私、けっこうモテるんだけど?
私と付き合いたい男なんて、山ほどいるんだけど!
それなのに、コイツときたら……。
でも、傷付いてハッキリと自覚した。
私、コイツのことが好きなんだ。
……私ったら、こんな頼りないヤツのどこがいいんだろう。
かっこいいから?
売り上げナンバーワンだから?
なんだか自分でもコイツのどこが好きなのか、よくわからない。
人を好きになるって、よくわからない……。
それなのに、どうしてもこの男を手に入れたくなって食い下がってしまった。
「もう付き合ってる人いるんだ?」
「いや……いないけど」
「じゃあ、いいじゃない!付き合ってみたら好きになるかもしれないよ?」
「ならないよー」
「!」
そんなにハッキリ言う?
私のどこが気に入らないのよ!
自分で言うのもなんだけど、私、顔もスタイルも頭だっていいでしょ?何が不満なの?
「ホ、ホントは!」
私はこの時目を閉じて、自分のプライドを円盤投げみたいに思いっきり遠くにぶん投げた。
「……ホントは、好きなの」
「は?」
頬がカアッと熱くなるのを感じた。
この私が自分から告白するなんて……。でも!
「藤崎くんのこと、好きなの。だから、……付き合って、……ほしいの」
「……」
私の言葉を聞いて、藤崎くんはじっと考えていた。