残業しないで帰りたい!
考えてる顔も端正で、超かっこいい……。
こっそり見上げてそんなことを考える自分が、なんか悔しい。
「さっき言っちゃったから言うけど、俺、別に久保田さんのこと、そういう風に考えたことないんだよねえ……」
「……でも、これから先はわからないよ?」
「そうは言ってもさあ……、同じ会社で付き合うって、どうなのかなあ」
そんなこと気にする?
社内で付き合ってる連中なんて、腐るほどいるじゃない!
「そんなのよくあることじゃない!」
それとも……。
そんなに私と付き合いたくないわけ?
「……俺と一緒にいたって面白くないよ?」
「いいよっ!面白くなくてもかまわない」
「久保田さんのこと、好きじゃなくても?」
そんなことをストレートに言われて、私は意地でも藤崎くんを手に入れたくなった。
「今は好きじゃなくても、好きにさせてみせるからっ」
「……なんて言うか、俺のどこがいいわけ?」
どこって言われても困るけど、強いて言えばやっぱり見た目だよね。
「……王子様みたいなとこ?」
藤崎くんは少し黙って、私を見ずに天井を見上げた。
「ふーん……。まあ、いいや。別に、いいよ。付き合っても」
その煮え切らない中途半端な言い方にイラッとしたけど、そんなやり取りの結果、とりあえず私たちは付き合うことになった。
「好きになる努力はしてよね」
「うん、……まあ、ね」
藤崎くんはそう言ったけど、努力しようと思っているようには見えなかった。