残業しないで帰りたい!

考えてる顔も端正で、超かっこいい……。

こっそり見上げてそんなことを考える自分が、なんか悔しい。

「さっき言っちゃったから言うけど、俺、別に久保田さんのこと、そういう風に考えたことないんだよねえ……」

「……でも、これから先はわからないよ?」

「そうは言ってもさあ……、同じ会社で付き合うって、どうなのかなあ」

そんなこと気にする?
社内で付き合ってる連中なんて、腐るほどいるじゃない!

「そんなのよくあることじゃない!」

それとも……。
そんなに私と付き合いたくないわけ?

「……俺と一緒にいたって面白くないよ?」

「いいよっ!面白くなくてもかまわない」

「久保田さんのこと、好きじゃなくても?」

そんなことをストレートに言われて、私は意地でも藤崎くんを手に入れたくなった。

「今は好きじゃなくても、好きにさせてみせるからっ」

「……なんて言うか、俺のどこがいいわけ?」

どこって言われても困るけど、強いて言えばやっぱり見た目だよね。

「……王子様みたいなとこ?」

藤崎くんは少し黙って、私を見ずに天井を見上げた。

「ふーん……。まあ、いいや。別に、いいよ。付き合っても」

その煮え切らない中途半端な言い方にイラッとしたけど、そんなやり取りの結果、とりあえず私たちは付き合うことになった。

「好きになる努力はしてよね」

「うん、……まあ、ね」

藤崎くんはそう言ったけど、努力しようと思っているようには見えなかった。
< 47 / 259 >

この作品をシェア

pagetop