残業しないで帰りたい!
とりあえず「藤崎くんちに行ってみたーい」とねだってみた。
「ダメだよ、散らかってるから」
んっ?
なにそれ!
珍しく「いいよ」って言わない!
「何それ?もしかして!家で誰か待ってるの?私の他にも誰かいるの?」
「は?いないよ!俺はそういうことはしない」
藤崎くんは不機嫌になった。
ああ、そうだった。この人は自分を不誠実だと思われることがイヤみたい。
「うちに来てもらっても、何も面白いものないよ?することないし」
あるだろーよ!
男なら、多少なりとも考えるんじゃないの?
私ってそんっなに魅力ない?
「藤崎くんがどんな家に住んでるのか見てみたいの」
「別に見なくていいって」
「そんなこと言って、やっぱり……本命がいるんだ」
「いないってば!じゃあ……、来てみればいいよ」
フフッ。
やった!
そう言うと思った。
東京本社にほど近い藤崎くんの家。
初めて入った藤崎くんの一人暮らしの部屋は、ベッドとテレビだけのガランとした寒々しい部屋だった。
そして、全然散らかっていない!
なによ!
そんなに私を家に入れたくなかったわけ?
ムカつくな!
「散らかってないじゃない」
「まあ、ね。家にいてもすることないし」
することない?
無趣味かよっ!
アンタ休みの日とか何してんのよ!
「いつも家で何してるの?」
「うーん、テレビ見たり、かな」
「休みの日も出かけないよね?」
「そうねえ、家にいるねえ」
……無趣味の引きこもりか?
ホント、面白くない男。