残業しないで帰りたい!
こんな、なーんにも面白くない男を好きになってる私。
何やってるんだか。
ベッドに座った藤崎くんの横に座って、そっとすり寄ってみた。
だって私たち、付き合ってもう2か月近くなのに、私から腕を組むくらいでキスの一つもしてないんだよ?
そんなのって今までの私の恋愛では考えられない。私だってそんなに数が多いわけじゃないけど……。
すり寄ったりしたら嫌がって避けたりするかなと思いきや、藤崎くんはされるがまま、特に避けることもなくじっとしていた。
嫌じゃないのかな?
やっぱり、私のこと欲しいって思う?
触れたいって思う?
そうだよね?
でも、見上げた藤崎くんはじっと遠くを見るような目をしていた。
「抱いてしまったら、久保田さんのこと好きになれなくなると思うから、ダメだよ」
いきなりの台詞に固まった。
は?
何言ってんの?
……つまり、私が抱いてほしいって思ったことは、わかってるわけね。
だいたい私のこと、抱きたくないわけ?
私を抱きたい男なんて、掃いて捨てるほどいるのに!
それになによ!
好きになれなくなる?
つまり、やっぱり、私のこと、まだ好きじゃないってことじゃない!
ムカつくムカつくっ!
「おかしいよ、そんなの!私たち、付き合ってるんでしょ?」
「おかしいかな?」
おかしいよ!
「それとも、まさか……初めて?」
「そんなわけないでしょ」
藤崎くんはムッとして言い返してきた。
あらあら、しまった。ちょっと怒らせた?
23歳男子にはちょっとよくない台詞だったかな?