残業しないで帰りたい!

私、コイツのこと、舐めてかかってたかもしれない。

今まで何人の女と付き合ってきたのかは知らないけど、この感じ……すごく慣れてる。

見た目がこれだもの……。
想定しておくべきだったのに、失敗した。

もしかしたら私、自分の想像以上にコイツに心を奪われてたのかもしれない。

私としたことが、夢中になるなんて。

でも、後悔した時にはもう手遅れで……。
肌を滑るその長い指に、その柔らかい唇に、あっという間に乱されてしまった。

息もままならず朦朧としながら、私は彼に一つだけおねだりをした。

「……好きって……言って」

藤崎くんは耳元に唇を寄せて囁いた。

「好きだよ」

「……」

……嘘ばっかり。

言ってとお願いしておきながら、その言葉を聞いたらすごく虚しくなって、思わず涙がこぼれ落ちた。

アンタは嘘つきだ。

好きでもない女を平気で抱いてる。
好きでもないのに好きだって言える。

アンタはホントにろくでなしだ。

少なくとも今だけは同じ熱を共有してると思ってたのに、体が離れたらすぐに背中向けて煙草吸うし!デリカシーのない男。
男にはわからないのかもしれないけど、それって一人取り残されてる感じがして、すごく寂しいんだから……。

男に抱かれてこんなに虚しい思いをしたことはなかった。悲しくなってまた泣きたくなったけど、でもじっと我慢した。

そんなのプライドが許さない。
それに、藤崎くんはダメって言ったのに、私が迫ったんだもん。

藤崎くん、「抱いたら好きになれなくなる」って言ってた。それって少しは好きになる努力をしてたってこと?

いやいや、違うよね?
本当は「抱いても好きになれない」でしょ?

この大嘘つき!
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