残業しないで帰りたい!
「……て、哲也っ、そんな大きな声……」
困惑する私を無視して、哲也はもっと大きな声を出した。
「いつもあなたのことばかり見ていた。いつもあなたのことばかり考えていた。俺の心はいつもあなたでいっぱいだった」
周りがざわつく。
そ、そんなでっかい声……。
ちょっ……、どうしたの?
「俺はあなたのことが好きになってしまいましたっ!」
「!」
張り上げるような大きな声に周りからオォッ!とどよめきの声があがる。
エッ?
なになに?
わけがわからない……。
でも、哲也の言葉は胸に響いて、喉が痛くなるほど胸を締め付けられた。
「あなたに寂しい思いはさせません!あなたを幸せにします!俺とお付き合いしてください!よろしくお願いしますっ!」
哲也は大声で言い切ると、握手のように手を差し出して、勢いよく思いっきり頭を下げた。
なんか、テレビ番組みたい……。
哲也……何してるの?
何も言えずに戸惑って見つめても、哲也は手を伸ばして頭を下げたまま。
そんな哲也を見ていたら涙があふれてきた。
哲也はこんなことをする人じゃない。
プライドが高くて、私にだってあんまり心の内を見せてくれないのに。
それなのに、人前でこんなこと……。
この人の想いが流れ込んでくる。この人の愛が痛いほど伝わってくる。
涙があふれて、嗚咽を止められない。
こんな元カレに会いに来るような、怨みに支配された醜い女のことなんか、さっさと捨ててしまえばいいのに。
なんで……?
頭を下げて手を伸ばし続ける哲也。
こんなの、見てられない!耐えられない。
苦しすぎるよ!
駆け寄って哲也の手を握ったら、哲也はゆっくり顔を上げた。