さくら
今度こそ桜子の頭をくしゃくしゃにかきまぜてやる。
「朝飯にしよ。桜子も一緒に食おう」
そばで志信と桜子のやり取りを見ていた藤子が口を開いた。
「そうね、早く食べてお買い物に行きましょ。志信の隣の部屋を桜ちゃんのお部屋にして、ベッドや机や色々揃えなあかんよね」
母親のこんな楽しそうな様子は久しぶりに見る。もともと身体があまり丈夫な方ではなく、やっと産んだ一人息子の志信は既に大学生で自分の世界がある。父親も開業医として忙しくしているので構える存在が嬉しいのだろう。
「ほなオレは運転手してやるよ」
藤子と桜子がクスクスと笑いながら顔を見合わせた。
今までが幸せじゃなかった分、毎日笑顔で過ごせるようにしてやらないとーーー
きっと後藤家の誰もが決心していた。