さくら
身体にきちんと合う洋服を着せてやり、髪の毛も肩先で揃えて美容院でカットしてもらった桜子は、随分愛らしい少女だった。藤子は未散にそっくりだと言い喜んだ。
不思議なことに桜子の父親の話は全く出なかった。志信はまさか聡志の子ではと疑ったが、両親の仲睦まじい様子に早々にそれを打ち消した。
朝は藤子と変わらない時間に起き出し、食事の支度、掃除、洗濯を手伝う。藤子がそんなことしなくていいのよと言っても聞かない。聡志を院長先生、藤子のことは藤子お母さん、志信のことはしーちゃんと呼び、徐々に後藤家に馴染んでいった。
未散が人気があったせいか、桜子は近所の人達にも好意的に受け入れられた。生い立ちの暗さを感じさせない、明るい素直な少女ーーーーそれが、桜子だった。