さくら
ある日、志信が飲んで帰ってきた深夜、皆は既に寝静まり大きな音を立てないように気を遣いながら自分の部屋まで戻ってきたときに桜子の声を聞いたような気がした。
「桜子、起きてるのか?」
ドアをあけて声をかける。
ドアからもれる廊下の細い明かりをたよりに、真っ暗な部屋の中を見る。ベッドが小さく丸く盛り上がっている。志信は桜子の枕元までそっと足をすすめた。
「ごめんなさい・・・・・ごめんなさい・・・・・ちゃんとするから・・・・・ぶたないで・・・・・」
布団を少しめくってみると、眠ってはいるものの、表情が苦しそうだ。おじの家にいた頃の夢を見ているのだろうか?
「桜子」
少し身体を揺すってやる。
「しーちゃん・・・・・」
抱き起こして膝に横抱きにしてやる。