さくら


「ほんならええけどな・・・・・」

心なしか聡志が嬉しそうに見える。もともと大学に残る気もなかったし、聡志が元気なうちに引き継いでおける方がいいと思っていた志信にとってもいい機会だった。

「桜子に手伝ってもらってボチボチやるよ」

「ああ、わからんことあったら聞いてくれ」

「よろしく。ほなとりあえず身なりを整えてくるわ」

そう言って志信は聡志の部屋を後にした。

髪の毛をカットに行って来ると、桜子に声をかけようとリビングをのぞく。

「坊ちゃん!」

気恥ずかしくなるような呼び方で志信を呼ぶのは、看護師で志信の祖父の時代から医院で働いてくれているウメだ。一応は引退して、近所に娘一家と住みながら時々受付や雑用を手伝ってくれている。

< 26 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop