さくら


「今日の相手はオレの友達でそんなんやない!」

「わからへんやろ、お兄ちゃん。今日イキナリ好きになるかもしらん」

達也と志信の間の空気の温度が一気に下がる。桜子は訳が分からなくて黙って見ていることしかできない。

「ほなな、桜子。楽しんで来いよ」

ドアを開けて出ていく達也を桜子は玄関まで見送り、またリビングまで戻って来ると、志信は窓からぼんやり中庭を眺めていた。

「しーちゃん、朝ごはんにするね」

「おう」

いつもの志信の笑顔が返ってきて桜子は少しほっとした。

朝食の準備をするためにキッチンに行こうとした桜子の前に志信が立ちはだかる。

「しーちゃん?」

志信が何も言わずじっと桜子を見つめる。

「・・・・・しーちゃん?」

志信の手が伸びてきて鼻をきゅむっとつまんだ。



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