さくら
「可愛いけど鼻は低いかもな」
「しーちゃん!」
つんとすねてキッチンへ行く桜子の後ろ姿を見送る。
桜子は誰よりも愛しい妹だ。
誰よりも幸せになれとずっと願ってきた。
どんな男が桜子を攫って行くのか、その時自分はどうするのか、全く想像がつかない。この間は朝倉、今日は達也に思いがけず現実を突きつけられて狼狽えるなんてオレもまだまだだなとそっと苦笑を漏らした。
「じゃ、志信、桜子9時には送るから」
「おう、よろしくな」
「しーちゃん、先生としーちゃんのお昼と夕御飯、チンしたら食べられるようになってるからね。先生に何かあったらすぐ帰って来るからーーーー」
志信が桜子の眉間を人差し指と親指でピンっと弾く。
「ばぁか。気にしなくてええから楽しんで来い。名医が傍にいてるんやから大丈夫や」