さくら


「朝倉さんこそたまの貴重なお休みくらい彼女と出掛けたらいいのに」

「その貴重な休みにお前誘ってるんやから彼女がいないことくらい察しろよ」

「あ、そうか」

朝倉はいつも桜子に気を遣わせない。志信の他にもう一人「兄」がいるような気にさせる。桜子にとって志信の次に横にいて安心出来る存在だ。

「ミュージカル、1時半からやしお昼は軽くにしといて夕メシはイタリアン予約しといたから」

「ありがとう。なんだか本物のデートみたいやね」

「本物のデートやろ」

朝倉が笑いを含んだ声で返し、桜子の頭を軽く叩いた。

「・・・・・・・・・・なんか緊張してきた」

「アホ」

京都駅に隣接する劇場に着き、車を駐車場に入れて、朝倉と肩を並べて歩く。
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