さくら
テーブルの向かい側にいる朝倉が困ったように頭をかく。桜子は堪えようと思うのにこみ上げる笑いを我慢出来ず、口元を抑えて頬を緩める。
「・・・・・起こしてくれたら良かったのに」
「だって・・・・・すごく幸せそうな寝顔だったし」
初めて観る有名なブロードウェイミュージカル、楽しんでいた桜子の右肩が不意に重くなった。気付いたら朝倉が座席から滑り落ちそうな姿勢で大きな身体を縮めて、桜子の右肩に頭を預けて寝息をたてていた。
疲れてるのに・・・・・・・・・・。
きっと志信と相談して、毎日家にいる桜子のことをたまには連れ出してやろうと思ってくれたんだ。
「朝倉さん、ありがとうございます」
桜子が頭を下げる。
「別に家にいることが苦痛だなんて思ったことないけど、外に出たらやっぱり楽しかった」