千年姫の幻想界
───
──



シャン、シャラン……

動く度に鳴る鈴。


リーン、リーン……

風と共に鳴る鈴。


コクン、コクン……

不安定に上下する頭……


バシッ!

「うっ」

「華様……居眠りとは、大変良い度胸で御座いますね」

黒いオーラを纏った式が腕を組んで静かに此方を見ている。


「はっ……式」

ビクーっと肩を跳ね上げる。


華は何度も習った、幻想界の歴史を今一度復習している所だった。

ほぼ分かっている内容。
快適な和室。

つい睡魔の誘惑に負けてしまう。


「集中力を高める為にやっている事でもあるのですよ。
それでは儀式の三日、持ちません。

お母様と、推薦した雅姫様のお立場がどうなります」


「はい……」

お母様と姫様、と聞いて背筋が伸びる。

ふざけてはいないのだけれど。
ここは、心地好くて……。


「もうー……。

仕方ありませんね。歴史はもういいです。
休憩にお散歩にでも行きましょう。

森では透水花が咲いたそうですよ」


透水花とは、花弁が透けている夏の花。
橙、黄、白、水色の花が咲く。


「わぁ、もう咲いたのね。
また押し花を作りたいわ」


「良いですね。綺麗に残りますし……

昨年は身に付けている方も沢山居ましたね」


そんな会話をしながら庭へ降りる。


外はまだ初夏にも関わらず、ジリジリと肌を焦がすような暑さだった。

< 14 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop