千年姫の幻想界
「──着きましたね」
華に寄ってきた猫や鳥と遊びながら、一本道を二十分。
着いたのは、森の広く開けた場所。
緩く数歩下った先には小さな滝が泉を作り、その周りを囲むように透水花が花を連ねている。
そして泉に収まらぬ水が一筋の川となり、十メートル程先の絶壁から更なる滝となって流れ落ちていた。
その絶壁からは町が一望できる、華の一番お気に入りの場所。
「まぁ……透水花がこんなに沢山」
裾を上げ泉に駆け寄っていく華。
式は浮き出た木の根に座り、ついてきた白猫を撫でている。
花を眺めたり泉に手を浸けたりと寛いでいると、式の所にいた猫がトコトコと華の元へ寄ってきた。
「どうしたの?猫ちゃん」
遊んでほしいのかと思ったとき、猫が数歩歩いて華を振り返った。
そして、また数歩歩いて振り返る。
「みゃー」
「ついて行けばいいの?」
「にゃあ」
式を振り替えると、スースー寝息をたてている。
「んー……少しならいいかしら」
式が撫でていたなら、この子は怪しい猫ではない。
式の手元に言玉(コトダマ…術で作る、伝言を入れた玉)を置いて猫に続いた。