千年姫の幻想界
───
──
─
「ああ~!
やっと見つけましたよ!」
暫く戻ると、式が小走りに向かって来た。
「はぁ、はぁ……。
華様……!
何故このような場所へ?
言玉一つで!
私など叩き起こしていただいて良いのです。
ですから……もうお一人で……」
最初は勢いよく出てきた言葉達も、最後には枯れるように小さくなっていく。
目には、うっすらと涙の膜が張っていた。
「御免なさい式……。心配してくれて有り難う」
「いいえ、当然です……。
……大切に使っていただき、有り難う御座います」
一瞬考えて、それが眠っている式を起こさなかった事だと分かった。
気持ち良さそうに寝ていたので、起こすのが躊躇われたのだ。
「貴方は目を開けた時点で“物”ではないわ。
卑下せず私達と同じように暮らせば良いの」
「……はいっ」
ぱあっと式の表情が輝く。
元は紙なのに、ヒトと同じように扱ってくれる主などそう居ないだろう。
改めて主への忠誠を深める式だった。
「みゃー!」
そのとき、華の腕の中の猫が鳴いた。
「あ、式……あのね、この子に着いて行ったのだけれど……この子が示した地面が歪んだのよ。
何故だか分か──」
そう言いかけて、クラリと目眩がした。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。
少し……暑さに負けてしまったみたいね。
いつもは涼しい部屋で稽古をしているから」
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「ああ~!
やっと見つけましたよ!」
暫く戻ると、式が小走りに向かって来た。
「はぁ、はぁ……。
華様……!
何故このような場所へ?
言玉一つで!
私など叩き起こしていただいて良いのです。
ですから……もうお一人で……」
最初は勢いよく出てきた言葉達も、最後には枯れるように小さくなっていく。
目には、うっすらと涙の膜が張っていた。
「御免なさい式……。心配してくれて有り難う」
「いいえ、当然です……。
……大切に使っていただき、有り難う御座います」
一瞬考えて、それが眠っている式を起こさなかった事だと分かった。
気持ち良さそうに寝ていたので、起こすのが躊躇われたのだ。
「貴方は目を開けた時点で“物”ではないわ。
卑下せず私達と同じように暮らせば良いの」
「……はいっ」
ぱあっと式の表情が輝く。
元は紙なのに、ヒトと同じように扱ってくれる主などそう居ないだろう。
改めて主への忠誠を深める式だった。
「みゃー!」
そのとき、華の腕の中の猫が鳴いた。
「あ、式……あのね、この子に着いて行ったのだけれど……この子が示した地面が歪んだのよ。
何故だか分か──」
そう言いかけて、クラリと目眩がした。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。
少し……暑さに負けてしまったみたいね。
いつもは涼しい部屋で稽古をしているから」