千年姫の幻想界


……嫌な予感しかしない。

あの方向──……

頭の中で地図を広げて、道を何度も思い出した。


「ねえ、式、様子を見に行かない……?」


「え……何を仰いますか!

今は駄目です。危険かもしれませんから。

華様をその様な場所に…「でも行かなきゃならない気がするのよ」

言葉を遮って訴える。

「だって、もしかしたらあの場所は──」

もしかしてと言いながら、本当はどこかで確信していた。



──待って、猫ちゃん──


──ここに、何かあるの?──


──華様、熱射病だったのでは?──



違う、熱射病のせいじゃない……。


──頭で煩く警報が鳴っている。





「駄目です」





ドクドク緊張していた全身が、冷静な声で熱を冷ました。

振り向くと、式が真剣な顔で立っていた。


「行ってはなりません」

「でも……!」


「良いですか?華様。

私は貴女の護衛です。
そして、御父様、御母様と同じように、貴女を想う一人でもあります。

ですから……

私は、貴女を止めます。

その為に、私は居ります。
私の存在理由です。

華様に何かあったら──

直ぐ様私は消されるでしょう」


「──!」

華の優しさを利用した説得。

それが功を成したのか、今にも飛び出して行きそうな華が息を飲んで固まった。


「解って頂けましたか?」


「……ええ、やめるわ。
貴方が消されるなど……」


「有り難う御座います。
では今日はもう、寝ましょうか」

そう言って微笑み、華を中に促す。


光は既に、消えていた──

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