千年姫の幻想界
───
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「暑いな……」

朝を迎えたトキヤは、ザクザク草木を掻き分けながら、川沿いに歩いていた。

一つ分かったのが、ここは森というより、山だということ。
見たことの無い、変わった木ばかりだ。



……とりあえず、町の人に助けてもらおう。

まずはそこからだ。

帰ったら、教授に文句を言ってやる。
魔力は必ず取り戻す。


この三つを達成すべく、歩き続ける。


にしても……

「全っ然見えねぇ」

町が全く見えてこない。


もう日が高く昇り、気温もどんどん上がってきている。
体力が、汗と共に奪われる。


魔法使いの一種のエネルギーである魔力があれば、数週間飲まず食わずでも死ぬことは無い。

だが今の自分は一週間程で動けなくなる可能性がある。

魔力というのは、それほど身体に大きな影響を及ぼすものだ。

だから何としても、今日、明日中には町に辿り着きたい。


そう思っていたのだが──……





三日経っても、町を見つける事は出来なかった。



───
──



(少し、休むか……。)

山に飛ばされて四日目。
相変わらず川を辿っていた。


何時間も歩き続けて、そろそろ足が限界だ。

どこか休める所はないかと改めて視線を上げると、川がずっと向こうで途切れているのに気付いた。


……いや、途切れている訳は無い。

多分、滝だ。


だが耳を澄ましても、ここまで滝音は聞こえない。
ということは、小さな滝なのだろうか?


好奇心に駆られたトキヤは、疲れも押しやり歩みを進めた。

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