千年姫の幻想界
「はぁ、はぁ……」
滝に近付くにつれ、土だった地に岩が目立ち始める。
最後の方は周りは全て岩、岩、岩。
踏み外さないよう注意するのに神経を使った。
岩に当たって枝分かれした川に落ちたら終わりだ。
高かれ低かれ真っ逆さまだろう。
多少息切れしながら最後の大きな岩に足を置く。
この岩を越えれば向こう側が見えるはず……。
そう思い、一気に踏ん張り上半身で岩に被さった。
後から片足をかけ登りきる。
そして体を起こし、大きく息を吐いた。
視線を上げたその先は──
「──っ町だ……!」
案の定、滝は小さかった。
しかし滝の下には泉ができ、更に泉から溢れた水が川になって少し先の絶壁から落ちている。
泉の畔には見たことの無い花が咲き誇り、周りは木々で囲まれていた。
まるで、天然の秘密基地。
神秘的で、美しい。
眼下に広がるその光景に見とれた後、案外近くに見える町に希望が湧いた。
これで、これで助かる。
どうにかあそこまで行ければ──
とりあえず、この滝の下に降りよう。
四、五メートル程しかない為、岩を伝い簡単に降りることが出来た。
思わず早足になりながら、泉の先の絶壁に身を乗り出す。
もし足の踏み場があれば、遠回りせずに降りられる。