千年姫の幻想界


──だがその淡い期待はあっさり裏切られた。


ほぼ垂直で下が見える。
足場は皆無、しかも地面が見えないほどに深かった。

ここはこんなに高いのか……。

見えない底と、すぐ横を落ちていく滝に思わずぞくりとしながら、他の道を考える。


しかし気が抜けてしまったのか、頭も働かず忘れていた疲れがどっと込み上げてきた。


……そういえば、休む場所を探していたんだった。

更に疲れる事をしてしまった。
まぁ、かなりの朗報が手に入ったからいいか……。

町を見つけた、今はその進歩で十分だ。

少し、眠ろう……。

泉を囲んでいる木に凭れると、すぐに眠気に襲われた……。



──
───


「もう~!式。

そんなに派手なのは嫌だわ」


「そんな。舞も踊るのですよ?

他の方に、見劣りしてしまってはいけません」

「もっと地味なので良いのよ。

むしろ、地味なのが良いわ」

「あら華、これはどうかしら?」

只今、華、式、母で儀式に向けての衣装選び中。

式と母は煌びやかな衣装を選ぶが、華は目立たぬ地味なのが良いらしい。

見目が整っている華はシンプルな衣服でも魅力だが、何せ他の姫候補と共に、儀式の前に舞台で舞を踊るのだ。

華だけ地味ではいけないと、シンプルな衣装を選ぶとあれこれ装飾品が宛てがわれる。

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