こんなお葬式【長篇】
エレベーター。

五階へのボタンを押し、意味もなく数字が点灯するランプを見つめる。

エレベーターは専用の奥行きのある物を使う。

立ったまま乗るエレベーターとは奥行きがまるで違う。
無論、病院には立って歩く人“以外”のエレベーターの使用が多いのだ。


五階へと到着し、次はナースセンターへ……。


─お疲れさまです…………。

ここでももう一度、守衛と同じやりとりをするのだ。

看護士に病室を案内してもらう。

誰も居ない部屋のベッドには、顔に白い布をかけられた“ご遺体”のみ。
さっきまで生きていた人……の抜け殻だ。

僕らは遺族が戻るまで、話が出来る所で待つ事にした。
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