こんなお葬式【長篇】
今までにこんな式はなかった。
勿論、たった一人で葬儀をあげようと考える親族が、まず居ないという事もある。

しかし、おばあさんの想いが僕に伝わり、それがお人好しの社員に伝染したのだろうと思いたかった。

その光景は僕にすれば異様だった。
その異様さと感激に近い感情に言葉をなくし、皆と目だけで確認しあった。


さぁおばあさん……。
お別れの儀に入ります。

想いを噛み締めて見送りましょう……。


僕は心の中で、そう呟いた。


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