こんなお葬式【長篇】
搬送はただの「業者」と思っている方は、葬儀とは全く分けて考えている。

こちらからの営業も、いまいちピンとこない場合もあり、

─葬儀社は後で住職さんに相談します。

─え?病院の関係者じゃないんですか?


等と言われたりもするのである。

地域によっては、町会が指定の葬儀社と契約していたりもする。

こういう場合、親族は自分達で決める事も難しい立場にある。

その変わり、契約値引き等で安く済むケースが多いのだ。

場合によっては町会長さん等の所に行き、そこで営業する事もある。

隣組や婦人会等が大きく関わり、葬儀そのものを牛耳ったりもする。

隣組とは隣近所のお世話組である。

そういう葬儀は極端にお手伝いさんや受付が多く、親族は始終気を使う事になる。

故人をとりあえず自宅へ連れて帰りたがる親族も多い。

そのまま自宅葬というパターンと、再度会館へ移動する場合等、様々だ。

マンションや団地のエレベーターには、立って乗る『人間』以外の、『奥行き』を持たせる為の細工がしてある所も多い。

エレベーターの壁に小さな扉が付いていて、開くと奥に突き抜ける仕様になっているが、普段気にしていなければ気付きもしない。


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