リナリアの王女
それからサラちゃんがお茶の準備をして帰ってきて、この場にクラウドがいる事に気づき少し慌てていた。
クラウドがいるのでサラちゃんとのお茶会は次回に持ち越しとなり、代わりにクラウドとお茶を飲むことになった。

「その・・・仕事は良いの?」
「ああ、丁度一区切りついたからバラでも見に行こうと思って来てみたんだが、エリーゼもここにいるとは思ってなかった」
「私も城内を一通り案内してもらって、サラちゃんに外を見てみたいってお願いしたの。そしたらここに連れて来てくれたの」
「そうか。城の中は広いからな。覚える事は出来たか?」
「ううん、広すぎて当分覚えられそうにないわ」
私が苦笑交じりにそう答えると、クラウドがクスッと笑いながら、
「俺でも把握し切れているか分からないからな。でもサラの事だ、エリーゼが生活を送る上で必要となる箇所を重点的に案内してくれただろう」
と言った。
その言葉や今までの言葉から、クラウドがサラちゃんの事をとても信頼している事が私にも伝わる。
「うん。それに暫くはサラちゃんが一緒に行動してくれるって言ってくれたから、とりあえず安心だわ」
サラちゃんを見ながら私も笑顔で答えた。

朝食の時はマナーを考えたりと緊張した食事だったが、お茶会では気楽にクラウドとの会話を楽しむ事が出来た。
そして心なしかクラウドも肩の力を抜いて楽しんでくれているように思えた。








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