リナリアの王女

 どうです?これは弱みになるでしょう?

グレンさんが笑いながら私に言ったけれど、私はそれどころではなかった。


だって・・・クラウドの初恋の相手が私・・・?


それじゃあ彼は一体何年間夢の中でしか見る事が出来ない私を想ってくれていたというのか・・・。



『実はエリーゼ様がお部屋から出てこない事を使用人から聞いて、お節介だとは思ったのですがクラウド様に事の次第を聞きに行ったのです』
あの恥ずかしかった出来事と、私がやってしまった事をグレンさんも知ってしまったという事か・・・。
私はさっきまでとはまた違った意味で少し焦ってしまった。
『ああ、安心して下さい。今回の事をクラウド様に聞きましたが、全面的にあの人が悪いですよ』
私を安心させるようにそう言ってくれたグレンさん。
『淑女に対して悪戯が過ぎるときつく言っておきました』
「なんか・・・すみません・・・」

申し訳なさ過ぎる・・・部屋に籠っている私が悪いのに、というかこんなくだらない事にまでもグレンさんに気遣わせてしまうなんて。

『エリーゼ様が部屋に籠った事を知ってすぐにでもエリーゼ様の部屋を訪ねようとしていたのですが、罰として仕事を沢山渡しましたので、今日までこの部屋にクラウド様が来ることはありませんでしたでしょう?』


次期国王に罰とか・・・グレンさん凄すぎる・・・。
改めてグレンさんの立場、というかクラウドとの力関係を垣間見てしまった気がする・・・。


それに、クラウドは私に会いに来てくれようとしていたのか・・・。




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