リナリアの王女
 自分勝手に恥ずかしがって部屋に籠っている私を怒るでもなく、ちゃんと気に掛けてくれていたのか・・・。

それなのに私は、本当は私が会いに行かなくてはいけない立場なのに・・・会いに行って謝らなくてはいけないのは私だというのに。

変に意地を張ってクラウドが会いに来てくれるまでこのままでいようとした。
あまりにも自分勝手な私に涙が出そうになるのをグッと堪えた。
私が泣いて良い立場ではない。

『エリーゼ様がお気になさる必要はありませんよ。クラウド様はやっと初恋の相手に会う事が出来たので舞い上がり過ぎたんです。今回の事でやり過ぎは良くないと十分分かったでしょう』
良い機会だったんですよ。と笑いながら言うグレンさん。


クラウドに会いに行かなくては。
会ってこの前の事を謝らなくては。



それだけじゃない。
ずっと想ってくれていたのに、初めて会った時に疑ってしまった事に対しても。
謝らなくてはいけない事が沢山ある。




『きっと今頃は最後の仕事を終える頃だと思いますよ』
グレンさんには何でもお見通しなんだろう。




< 80 / 96 >

この作品をシェア

pagetop