イジワル婚約者と花嫁契約
そう思うと、急に今日一日が楽しみになってくる。
ドアの前で私の返事を待つお兄ちゃんに「急いで準備する」と伝え、支度を始めた。


「灯里!これなんかも似合うんじゃないか!?」

そして始まった久々の、お兄ちゃん曰く“デート”
子供の頃よく連れていってもらった水族館に行き、お兄ちゃんオススメのカフェでランチを済ませ、そして今はショッピングモールで買い物中なんだけど……。

「お兄ちゃん、もう充分だよ」

買い物を始めて二時間近く経つけれど、既に沢山の夏物の洋服やバッグ、サンダルを買ってもらった。
雑誌でよくやっている着回しコレクションがたくさんできるほど。

それなのにお兄ちゃんはまだ足りないと思っているのか、首を傾げる。

「なに言っているんだ。まだ全然買っていないじゃないか」

いやいやいや!もう充分すぎるほど買ってもらったし!

「ううん、もう充分だよ。それに沢山あってもそんな着こなせないし」

「そんなことないさ。どれを着ても似合うものばかりだし、なにより可愛いじゃないか」

「ちょっ、ちょっとお兄ちゃん声大きい!」

力説するお兄ちゃんの声のボリュームは大きくて、周囲にいる買い物客に丸聞こえ状態。
< 106 / 325 >

この作品をシェア

pagetop