イジワル婚約者と花嫁契約
それを聞いた買い物客からは「彼女羨ましい」とか「愛されてる」とか、そんな声が聞こえてきて恥ずかしい。
だけどお兄ちゃんは逆に嬉しいのか、満足気に笑うばかりだ。

「灯里聞いたか!俺達、恋人同士に見えるようだぞ」

「アハハ……」

もう笑うしかない。
普通の兄妹だったら、そんなこと言われたら絶対嫌がるはず。
なのにお兄ちゃんは喜ぶなんて……。

「よし!可愛い灯里にもっと可愛い服を買ってやらないとな!」

まさかのやる気アップにギョッとしてしまう。

まずい。このままじゃ果てしなく買ってくれそうだ。

「おっ、お兄ちゃん!本当にもう充分だから!……あっ!そうだ!私がお兄ちゃんの服を選んであげる!」

「えっ!灯里の俺のをか!?」

「うん!」

そうだよ、私だってちゃんと働いて収入はあるもの。
たまにはお兄ちゃんにプレゼントしたい。

するとみるみるうちにお兄ちゃんの顔面は崩壊していく。

「なんだそれ、すごく嬉しすぎるんだけど!」

「本当?ならよかった。じゃあ早く見にいこう」

これ以上買わないようにと、お兄ちゃんが手にしていた服をそっと戻し、メンズショップへと向かうべく腕を掴んだ。

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