イジワル婚約者と花嫁契約
見覚えのある人影は健太郎さんで、その隣には見知らぬ女性が立っていたから――……。

しかもキレイな人だ。
健太郎さんの隣に立っていても、私のように全然不釣り合いじゃない。自然すぎるくらいだ。

「やだ……なに、これ」

胸がギューっと締め付けられて痛い。
もう見たくないのに、視線を動かすことさえできない。

ふたりは笑顔でなにかを話しながら、商品を手に取って見ている。

「指……輪?」

健太郎さんの隣にいる女性が手にしているのは、間違いなく指輪だった。

混乱する頭で答えを導こうと試みるも、それを心が拒否してしまう。
答えなんて出したくない。……だって考えるまでもないじゃない。

そうだよ、答えは簡単だ。
最初から不思議で仕方なかった。どうして健太郎さんのような人が、私とお見合いしたのか――……。
きっと私とお見合いしなくてはいけない理由があったんだ。
結婚を断れない理由があったんだよ。

今朝のお兄ちゃんの言葉が頭をよぎる。

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