イジワル婚約者と花嫁契約
「なんだよ、その顔」

「――え?」

そう言うと彼はさらに距離を縮め、妖しい笑みを浮かべながら囁いた。

「俺のこと意識しているって顔している」

「ちがっ……!」

口では否定するも、全然効力を発揮していない。
それは自分が一番よく分かっている。
だってドキドキしちゃっているし、顔だって真っ赤だろうから。
それはきっと彼に全て知られているはず。

その証拠に彼は「クククッ」と声を押し殺しているし。
居たたまれない気持ちと恥ずかしさと、色々な感情が一気に押し寄せてきておかしくなりそうだ。

だけどいつまでもこの状態のままいるわけにはいかない。

「助けてくれて、ありがとうございました!」

棘のある声でお礼を言い勢いよく彼から離れると、彼はますます可笑しそうに笑うばかり。

「可愛いなぁ、その反応。子供みたいで」

「……っ!」

本当にこの人、失礼すぎる!

能面女に始まりバカ女、そして最後には子供みたい!?
私のどこが子供だって言うのよ!
れっきとした二十四歳なのよ!?



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