イジワル婚約者と花嫁契約
さっきあれだけ罵っちゃったんだもの。
きっと「天罰が下ったんだ」とか言われて笑われちゃいそう。

その全てを覚悟してこれから襲ってくるであろう痛みに耐えるように、ギュッと瞼を閉じた時だった。
勢いよく腰に回ってきた腕に引き寄せられ、前のめりに身体は倒れていく。

「きゃっ……」

いきついた先ですぐに感じたのは筋肉質な胸板と、鼻を掠めるアクアブルーの爽やかな香りだった。

「っぶねぇな。なにやっているんだよ」

そしてすぐに頭上から聞こえてきた心地よい低音ボイス。
吐息交じりの声に驚き顔を上げれば、呆れたように至近距離で私を見下ろす彼と目が合ってしまった。

「……っ!」

「二十四にもなって落ち着きないとかシャレにならないぞ」

一気に熱くなる身体。
ドキドキと高鳴り出す鼓動。

こんな密着している状態ってマズイ。
だって身体が熱いのもドキドキしているのも、全部彼に伝わってしまうもの。

だから早く離れなくちゃ。

そう頭では分かっているのに、ドキドキしすぎて身体がいうことを聞いてくれない。
私の身体はいまだに彼に体重を預けたままだ。
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