イジワル婚約者と花嫁契約
「さて、と。今日もそろそろ終わりね」
「はい」
時計を見れば、就業時間終了まで残すところ五分ほど。
受付台の上を整理整頓したり、パソコンの電源を落としたりしていると、五分なんてあっという間に過ぎてしまった。
「お疲れ様!……と言っても灯里ちゃんはまだ上がれないんだっけ?」
「……はい、残念ながら」
今朝、家の近くまで健太郎さんに送ってもらいそっと帰宅すると、玄関先ではお兄ちゃんが待ち構えていた。
健太郎さんの言う通り両親がうまく誤魔化してくれていたけれど、お兄ちゃんは酷くご立腹だった。
あれほど釘を刺されたというのに、お兄ちゃんの了承もナシに退社してしまったのだから。
当分の間は一切お兄ちゃんには逆らえなさそうだ。
「千和さんはどうぞ上がって下さい」
「そう?……ごめんねいつも」
申し訳なさそうに謝る千和さんに慌てて首を振った。
「なに言ってるんですか。もう業務も終わったんですから遠慮は無用です。お疲れ様でした」
笑顔でそう伝えるものの、千和さんは後ろ髪を引かれるような顔をしながら、何度も振り返し「お疲れ」と言ってオフィスを出ていった。
「はい」
時計を見れば、就業時間終了まで残すところ五分ほど。
受付台の上を整理整頓したり、パソコンの電源を落としたりしていると、五分なんてあっという間に過ぎてしまった。
「お疲れ様!……と言っても灯里ちゃんはまだ上がれないんだっけ?」
「……はい、残念ながら」
今朝、家の近くまで健太郎さんに送ってもらいそっと帰宅すると、玄関先ではお兄ちゃんが待ち構えていた。
健太郎さんの言う通り両親がうまく誤魔化してくれていたけれど、お兄ちゃんは酷くご立腹だった。
あれほど釘を刺されたというのに、お兄ちゃんの了承もナシに退社してしまったのだから。
当分の間は一切お兄ちゃんには逆らえなさそうだ。
「千和さんはどうぞ上がって下さい」
「そう?……ごめんねいつも」
申し訳なさそうに謝る千和さんに慌てて首を振った。
「なに言ってるんですか。もう業務も終わったんですから遠慮は無用です。お疲れ様でした」
笑顔でそう伝えるものの、千和さんは後ろ髪を引かれるような顔をしながら、何度も振り返し「お疲れ」と言ってオフィスを出ていった。