イジワル婚約者と花嫁契約
なんて甘い言葉だろうか。
こんな言葉を至近距離で囁かれるように言われて、ときめかない人なんていないとさえ思えてしまう。

「分かったか?」

そう言うと言い聞かせるように自分の額を私の額にくっつけては、グリグリと動かしてきた。

「わっ、分かりました!分かりましたから離れて下さい!」

懇願するよう言うと、笑いながらもやっと健太郎さんは離れてくれて、ベッドサイドに腰掛けた。

「分かればいいんだよ。……で?お前のその元気のない原因はなんなの?」

満足したように息を吐き、本題を切り出されたものの答えに困る。
だってさっきの一言で、私の悩みなんて簡単に吹っ切れてしまったのだから。

例え私と同じように健太郎さんのことを好きな人がいても、私よりお似合いの人がいても、それでもさっきの健太郎さんの言葉を信じたいって思えたから。

「もう、大丈夫になりました」

「は?」

顔を顰められてしまったものの、本当に大丈夫になったのだから仕方ない。
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