イジワル婚約者と花嫁契約
その答えが聞きたい一心で健太郎さんを見つめてしまうと、優しい顔をして「ん?」なんて吐息交じりの甘い声を漏らす。

「あっ、いま思い付いた」

そう言うと健太郎さんは急に得意気な顔を見せ、至近距離で囁くように言った。

「嫁になるための第八条。……夫を頼ること」

「分かったか?」そう付け足すと、大きな手が髪を撫でた。

「……まだ健太郎さんは夫じゃありません」

ドキドキしていて、そして嬉しいくせにこういうところではなかなか素直になれない。
可愛げなく言い返すけど、健太郎さんにはそんな強がりは全く効力を発揮していないようだ。

「まだ、だけど近い将来はそうなるだろ?俺が夫で灯里が嫁」

「……っ!」

少しでも動いたら唇が触れてしまいそうな距離で囁かれた言葉に、カッと顔が熱くなる。
こうなってしまえば、もう強がりも言えそうにない。

ただ黙って健太郎さんを睨んでいると、クククッと喉元を鳴らした。

「あーあ、本当に灯里は可愛いな。……つまりさ、なにが言いたいのかと言うと、俺はただ灯里に頼って欲しいんだよ。両親でも兄さんでも友達でもない、誰よりも先に俺に」
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