イジワル婚約者と花嫁契約
「そう……だったんだ」

その言葉を聞いた瞬間、健太郎さんと出会ってからの思い出達が全て音を立てて崩れていく感覚がした。

健太郎さんも知っていた……。
それってつまり最初から健太郎さんは、私とのお見合いは政略結婚だと認識していたってことだよね?
じゃあ嘘だったんだ、きっと。
写真を見ただけで私と結婚したいと思ったとか。
そんなの、嘘に決まっている……!

「灯里、でもねっ……」

見兼ねたお母さんがなにか話そうとしたものの、耐え切れなくなってしまい、勢いよく立ち上がりそのままリビングを飛び出した。

「灯里!?」

すぐに私を呼び留める声が聞こえてきたものの、足は止まることなく自分の部屋へ向かい、乱暴にドアを閉めた。

バンッと大きな音が響く中、ドアに寄りかかったまま動くことができない。

信じたくない。健太郎さんが最初から知っていたなんて。
これじゃ梅沢さんの話通りじゃない。
じゃあもしかして、梅沢さんと付き合っていたってことも本当なの……?
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