イジワル婚約者と花嫁契約
「あの日の俺は、母さんに頼まれて夜勤の父さんに忘れ物を届けに来ていたんだ。季節は冬真っ盛りで雪が降るんじゃないかってほど寒かった。……病院に着いた時、親父は緊急オペ中だった。灯里の両親の、な」
そう、だったんだ。
「だけどふたりは亡くなった。……病院に搬送されてきた時にはもう手遅れだったらしい。あとで父さんが泣きながら教えてくれたよ」
健太郎さんのお父さん……。
お見合いの席で挨拶は交わしたけれど、あの時は健太郎さんの印象が強すぎてあまり記憶にない。
「周囲の反対を押し切ってオペをして。……助けたかったらしい」
四歳の時の記憶がちゃんとあれば、あの日再会した日、ちゃんとお礼を言うことができたのに……!
最後まで諦めず、救ってくれようとした。それを聞いただけで涙が溢れてしまいそうだ。
「灯里はちょうど幼稚園に預けられていて、そのことを知っていた母さんが灯里を迎えに行ったんだ。……灯里は覚えていないと思うけど、それからしばらくの間、うちで生活していたんだぜ?」
「そうだったんですか……」
そう、だったんだ。
「だけどふたりは亡くなった。……病院に搬送されてきた時にはもう手遅れだったらしい。あとで父さんが泣きながら教えてくれたよ」
健太郎さんのお父さん……。
お見合いの席で挨拶は交わしたけれど、あの時は健太郎さんの印象が強すぎてあまり記憶にない。
「周囲の反対を押し切ってオペをして。……助けたかったらしい」
四歳の時の記憶がちゃんとあれば、あの日再会した日、ちゃんとお礼を言うことができたのに……!
最後まで諦めず、救ってくれようとした。それを聞いただけで涙が溢れてしまいそうだ。
「灯里はちょうど幼稚園に預けられていて、そのことを知っていた母さんが灯里を迎えに行ったんだ。……灯里は覚えていないと思うけど、それからしばらくの間、うちで生活していたんだぜ?」
「そうだったんですか……」