イジワル婚約者と花嫁契約
だけど兄としてどんなに迷惑がられようが、妹を守るのは兄としての務めだ！と自分を奮い立たせてきたけど……。

灯里や両親を始め、田中にまで言われてしまうとその自信も薄れてきてしまう。

また大きな溜息を吐き、運転に集中する田中に思い切って身を乗り出し聞いてみた。

「なっ、なぁ田中……。灯里は俺のこと、ウザイとか迷惑とか思っているのだろうか……？」

そんなことは思いたくない。
だって昔から俺と灯里は相思相愛だったし、俺の愛情に灯里も答えてくれていた。
なのにいくら成長して思春期を迎えたからって、あの灯里がそんなことを思うなんて考えたくない。
でも、最近の灯里の態度といい田中の発言といい……そう思わざる負えない気がする。

変に緊張しながら尋ねると、田中は気遣うことなくバッサリと言い捨てた。

「なにをいまさら。まさにその通りではありませんか」

「なっ……なんだと！？」

車内だというのに思わず立ち上がってしまい、当然頭をぶつけてしまった俺は必死に痛みを堪えながら、田中に抗議を続けた。
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