イジワル婚約者と花嫁契約
そんなことを考えていると、隣にいる千和はボソッと俺にしか聞こえない声で囁いた。

「灯里ちゃんがいなくなって寂しい気持ちは分かりますが、忘れないで下さい」

「え?」

ふと隣を見ると、なぜか千和は恥ずかしそうに耳まで真っ赤に染めていた。

「だから……私がいるってことです」

「千和……」

「こんなこと言わせないで下さい!」そう強がっているくせに、顔は今も真っ赤。

あぁ、だめだな俺は。
もしかしたらとんだ浮気者なのかもしれない。
あんなに灯里一筋だと思っていたのに、灯里が嫁にいくことが悲しくて仕方なかったのに、そんな気持ち、今の千和の一言でぶっとんでしまった。
今はただ隣にいる千和が可愛くてしかたない。

真っ赤になるほど恥ずかしいことを言うことないのに……。
だけど俺は千和のそういうところが好きなのかもしれない。

気持ちを押さえられず強引に腕を引き腕の中に千和を抱き寄せると、身体を強張らせた。

「あっ、あの……!」

「ん?」
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