イジワル婚約者と花嫁契約
全く想像できない。……いや、想像したくないだけなのかもしれない。
このお兄ちゃんとあの二重人格の佐々木さんが顔を合わせたら、お互いどんな反応するのかなんて、怖くて想像もしたくないや。

それから少しだけ仕事の話をして、やっと解放された私は自分の仕事に戻った。



【却下。絶対呼ばせる】

仕事を終え帰宅した私を待っていたかのように、家に着くなりタイミングよく届いた一通のメール。
仕事で疲れ切った身体にまた一段と疲労感を与えてくれるメールに、大きな溜息が漏れる。

「無理って送ったのに」

スマホを手にしたまま、ゆっくりとソファーに腰を下ろした。

そもそもなんで佐々木さんはそんなに名前呼びにこだわるんだろうか。
別に私達、恋人同士でもなんでもない。
お見合いしただけの仲だけど……。

そういえば佐々木さんはお見合いの日から突拍子もないことばかり言っていた。
いきなり好きになれ!とか、嫁になれ!とか……。
今まであまり深く考えなかったけど、それってなんか私のこと好き、なのかな?

「いやいやいや!やっぱりあり得ない!」
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